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祖国に帰れない人を追い込む仮放免
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     入管における長期収容問題は、2019年6月に大村入国管理センター(長崎県)でナイジェリア人の男性が仮放免を求め抗議のハンガーストライキを行い、餓死した事件がメディアで取り上げられたこともあり、少しずつ知られるようになってきています。では、その彼が命を懸けて求め、また今もなお長期収容と闘っている外国人が求める仮放免とはいったいどういうものなのでしょうか。

     

     仮放免とは「収容されている者について、病気その他やむを得ない事情がある場合、一時的に収容を停止し、一定の条件を付して、例外的に身柄の拘束を解く」制度(法務省)のことです。仮放免の拒否にかかる明示された基準はなく、その判断において考慮する事項は被収容者の家族状況、健康状態、素行、収容期間などが考慮されるものの、大きくは入管の裁量権によります。仮放免の許否は入管が行うことができ、入管の裁量にかかっています。したがって仮放免が不許可となり、長期収容となることに絶望し、絶食し、自分の身体を犠牲にすることで長期収容に抗議し、仮放免の許可を得るためにハンストを決行する被収容者が多発します。このハンストのせいで体重が激減し、車いすが必要となるほど衰弱してしまう人もいます。こうした過酷な生死をかけたハンストによる餓死者も出ています。

     また仮放免が許可されたからと言って完全に自由の身になれるわけではありません。仮放免となっても様々な面で権利や行動の制約を受けます。仮放免中の者は住居や行動範囲を制限され、月に1回の入管への出頭の義務を負います。就労することもできず、健康保険にも加入できません。住所のある都道府県外に事前の許可なく出た場合には、仮放免の規則に違反したとされて、再収容されてしまいます。よって、仮放免されても在留資格はなく、いつまた再収容されるのかわからず、就労もできずに不安定な生活を送らなければなりません。しかし、収容所内でのひどい食事や、必要最低限しか受けられない医療、狭い場所でシャワーなど必要最低限の生活以外に何もすることを許されない収容環境は、肉体的にも精神的にも過酷で耐えることはできません。このような収容状態から解放されるために、被収容者は仮放免を求めて闘っているのです。

     

     仮放免の状態に置かれ、送還を拒否している人の大半は帰るに帰れない事情を抱えた人たちです。日本は「国際難民条約」上の「難民」について、国際基準よりも狭く解釈し、適応しています。いわゆる政府・軍からの迫害を受けている「政治難民」ではない事情(テロリストからの脅迫や文化的差別)によって命を狙われている場合は、帰国しても政府の保護が受けられることを理由に難民とは認めず、その国の情勢を明らかに軽視した認定を行っています。

     また難民以外にも、バブル期の労働者不足を補い、日本で長年労働者として働き日本経済を支えてきた人(当時このような非正規滞在外国人の就労を入管は黙認してきました。)、そうした親のもと日本で生まれ育ち、日本の教育を受け、祖国に生活の基盤がない人、送還されてしまうと家族と離れ離れになってしまう人もいます。

     

     仮放免とは屋根のない長期収容の延長です。様々な事情によって祖国へ帰れない人々に様々な制約を課し、就労を禁止することにより生活苦に陥れ、「自主的な帰還」を促そうとしているのです。入管はこうした人々をただ業務上送還しなければならない対象と捉えその人の命、人生、家族のことなどを考えていません。しかも、このような様々な事情を抱え送還を拒否する人たちにさらに罰則を設けようとしています。こうした入管の動きを日本社会はただ放っておいてよいのでしょうか。同じ日本社会に生きる人々として、日本社会全体でこの問題を考えていきたいと思います。

     

    | - | 19:22 | comments(0) | - |
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