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勝訴的和解が成立! 大阪入管トルコ人男性暴行骨折事件裁判
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    大阪入管に収容されていたトルコ国籍の男性が、2017年7月12日に大阪入管の職員らから、「制圧」と称する暴行を受けたこと等について損害賠償を求め、2018年5月29日、大阪地裁に提訴した国家賠償請求訴訟について、2020年9月29日に和解が成立しました。

     

    和解内容

     

    当裁判所は、本件が、大阪入国管理局(当時)の職員による制圧行為により被収容者であった原告が右上腕骨近位部を骨折等するという結果が生じている事案であることに鑑み、当事者双方に和解勧告したところ 、 被告(大阪出入国在留管理局長)は 、 本件の事案を重く受け止め 、 原告に対して謝罪するとともに 、 同局 収容場に収容されている者の人権を尊重しつつ 、 より一層適正な処遇を行うよう努めることを確認し 、 当事者間に次のとおり和解が成立した。
    1 被告は、原告に対し、本件和解金として、 300万円の支払義務があることを認める。
    2 被告は、前項の金員を、令和2年 11 月 30 日限り、原告代理人の指定する…(省略 に振り込む方法により支払う。なお、振込手数料は被告の負担とする。
    3 原告は、その余の請求を放棄する。
    4 原告と被告は、本件に関し、本和解条項に定めるもののほか、何らの債権債務がないことを相互に確認する。
    5 訴訟費用は各自の負担とする。

    以上

     

     

    裁判の傍聴を通じて

     初めにこの事件の傍聴をした時は、他の被収容者の方たちから見えない場所(隔離部屋)で、無抵抗の人を何人もの力がある職員が押さえつけ、腕を通常ではありえないような方向に無理矢理引っ張って制圧したことを正当な行為であると言う入管の主張は常識的に考えて通る道理では無いと、入管のあまりにも道徳心のない考えに怒りと憤りを覚えました。
     さらに、最後の裁判の日に、入管側はいままで出してこなかった新しい証拠を提出してきました。
     その後出しした証拠は、動画をコマ撮りしたものの一部で、その動画は防犯カメラのものであり、本人の了承もなく、本来の目的以外で使用されたのです。
     それは明らかに不適切な行為だと弁護士の方々や傍聴に立ち会った方々が怒っていらっしゃいました。
     そして今回の裁判の結果は上記の「弁護団声明」にある通り、勝訴的和解であり、決して政府・入管に対して妥協したものではありません。弁護団の方々や我々支援者が主張している条件を満たしての和解でした。
     入管が約束を守り再発防止に徹底するように、今後もしっかりと収容所内の状況を掴まなくてはいけないと感じました。
     今回の裁判をきっかけに、一人でも多くの学生・社会人の方々に、収容所問題の深刻さ、いかに入管が非収容者の方々の命を軽視しているかを知って、周りの人達と議論をしていただきたいと思います。

     

    弁護団声明


    1 本件訴訟の概要について
    本件は、 大阪入国管理局( 現「大阪出入国在留管理局」。以下「大阪入管」 )に収容されていたトルコ国籍の男性が 、2017年7月12日に 大阪入管の職員らから 、 単独室から保護室(被収容者からは 保護室ではなく、「 懲罰室 」と呼ばれることが多い。 )に移動させられ、 「 制圧 」 と称する 暴行を受けたことにより、右肩の骨折 ・右肘の捻挫等の負傷をし 、 後ろ手で 手錠をかけられ た状態で放置された上、速やかに病院に搬送されず、 収容中も 正当な理由なく適切なリハビリ治療を受けられなかったことなどについて、慰謝料等の損害賠償を求め、2018年5月29日 、大阪地裁に国家賠償請求訴訟を起こしたものです。 
    本件訴訟は、2020年7月31日の第13回口頭弁論期日で結審し、同年9月29日 の和解期日において和解が成立しました。


    2 本件和解の意義について
    この和解は、被告が原告に対し、金銭的な支払いを約束するのみならず、大阪出入国在留管理局長が本件事案を重く受け止めて謝罪したこと 、同局収容場に収容されている者の人権を尊重しつつ 、より一層適正な処遇を行うよう努めることを約束したという点において、画期的であるといえます。この和解の内容は、原告自身が受けた被害の回復のみならず、現在も収容場に収容されている者に対する再発防止をも求めて本件提訴を決意した原告の想いにも沿うものとなっています。そのため、原告は、金銭の支払いを命じることしかできない判決ではなく、和解によって、本件の解決を図ることを決断しました。
    3 本件訴訟における主張について
    本件訴訟において、上記 銑い砲弔い董概ね次のような主張がなされてきました。
    ,砲弔い董 原告は、 単独室から保護室に移動させたのは、入管職員らの服薬確認の方法に抗議し、これに応じなかった原告に対して「懲罰」を与えるという違法な目的であったと主張しました。 原告は 、入管職員の目の前で薬を飲んだにもかかわらず、「口を開けて」と言葉で指示するのではなく、子どもに対して言うように「アー」と言われ、「おい」と呼ばれたことで、馬鹿にされたと感じました。 被告は、原告が立ち上がろうとしたこと等を根拠に「他害行為 、自傷行為及び物の損壊のおそれのある行為を行う可能性は高かった」等と主張していま した 。しかし、 証拠調べ済みの監視カメラの映像によると、入管職員が原告の肩を掴んだ後、原告が 「触らないで」 と何度か述べた後に原告と当該入管職員がほぼ同時に立ち上がり 、その直後には4〜5名の入管職員らに囲まれ、保護室へと移動させられており、 原告がそのような行為に及ぶつもりがなかったことは明らかであるといえます 。
    △砲弔い董 原告は、入管職員らに両脇等を挟まれて 、単独室から保護室に向かい 、保護室入室直後に足払い等を掛けられて転倒させられ、7〜8人の入管職員らに覆いかぶさられ、右肘に関節技をかけられた後 、さらに右手を掴んで天井方向にひねり上げ 、 後ろ手にねじり上げられるという一連の暴行を加えられました。その結果、原告は、右上腕骨近位端骨折(プレート固定術後肩関節拘縮)、右肘関節過伸展捻挫(靭帯関節包損傷の疑い)、上腕骨小頭および橈骨頭部骨軟骨骨折(骨挫傷)、右腋窩神経損傷後の怪我を負い 、後遺障害も生じたと診断されています。
    被告は、「原告が抵抗していた」等と主張していましたが、 原告は一貫して抵抗しておらず、 証拠調べ済みの監視カメラの映像等に照らしても 、入管職員らの制圧行為には必要性も合理性も全くなく、違法であることは明らかであると主張しました 。上記の ,諒欷郤爾飽榮阿気擦燭海箸汎韻犬、服薬確認の方法に抗議した原告に対する「懲罰」、「見せしめ」であり、その目的も違法であると考えています。
    について、原告 は、保護室内で 、右肩を骨折等した状態で、約10分間 、両手を後ろ手にして手錠をかけられました。このことは、 被告も認めています 。 また、原告は受傷後、直ちに病院に搬送されたものではありません。
    証拠調べ済みの監視カメラの 映像等に照ら しても 、この約10分間 に 、合計7名もの入管職員がぐったりと倒れこんでいる原告を取り囲み、ただ見ていたり、「薬飲んだらちゃんと飲んだか確認いつもやっているでしょ。ね。それには応じてください。わかりましたか。話しできる。座って話できますか。」と一方的に話しかけたりしていることは明らかとなっています 。かかる入管職員らの対応からして、上記´△飽き続き 、後ろ手で手錠をかけられた 状態にすることが「懲罰」 として予定されていたと考えられます 。骨折等した状態で 、 約10分間、 後ろ手に手錠をしていたこと自体も残虐であり、違法であると 主張しました 。
    い砲弔い董 原告は、 2017年 7月12日の事件当日、大阪みなと中央病院で診察を受け、同月13日に同病院に入院し、同月14日に手術を受け、同月18日に退院して大阪入管での収容が再開されました。その後、通院は月に1回程度しか認められず、通院時に通訳者が原告の傍に同席したこともありません。リハビリにあたって理学療法士が関与することもありませんでした。これら の事実は被告も認めています 。 原告は、口頭や被収容者申出書(願箋 で、何度も 病院でリハビリをしたいと訴えてきましたが、認められませんでした。 入管は、被収容者が り病し、又は負傷したときは、医師の診療を受けさせ、病状により適当な措置を講じる義務を負っています(被収容者処遇規則30条)。 原告は、 本件において、入管がこの義務を怠っていたことは明らかであると主張しました 。 「 加害者 」であるともいうべき大阪入管がこの義務を怠っていたことは 、深く反省されなければならないと考えて います 。
    判決ではなく 、 和解によって本件訴訟が終了したため、 裁判所が 上記 銑 を 違法行為であると明確に判断することはありませんでしたが、 和解金の金額も過去の類似事例に比べれば高額であること、 大阪出入国在留管理局長が謝罪等をするという文言が盛り込まれたことから、当時の大阪入管における対応に問題があったことについては、一定の理解が得られたものと認識しています。
    4今後の課題について
    ただし 、 本件には、残された課題があります。すなわち、和解金の金額の根拠につき、裁判所からは原告の後遺障害の存在が示唆されたものの、 原告の主張どおりの後遺障害等級を前提とした水準ではありませんでした。 後遺障害逸失利益等の計算においても、 日本人と同様の賃金を前提とした額ではなく、 トルコを基準として割り引かれた計算がなされました (最三小1997(平成9)年1月28日民集51巻1号78頁参照) 。入管職員らによって重大な被害を受け、現在も日本で暮らす原告に対し、日本人と同様の賃金を前提とした後遺障害逸失利益等の計算がなされなかったことは遺憾に感じています。
    また、大阪出入国在留管理局長が謝罪をしたこと、「収容場に収容されている者の人権を尊重しつつ、より一層適正な処遇を行うよう努める」ことを約束したことも評価できますが、再発防止の内容が抽象的な文言に留まったのは残念と言わざるを得ません 。当 弁護団は、和解協議に際して、入管職員に対して人権研修を実施するなど、より具体的な再発防止策を明記することを求めましたが、被告はこれを受け入れませんでした。本件事件以降も大阪入管を含め全国の入管収容場において、「 制圧 」と称する暴行事件が後を絶ちません。本件において、「収容場に収容されている者の人権を尊重しつつ 、 より一層適正な処遇を行うよう努める」 という約束をした以上、 被告が再発防止に向けた具体的な取り組み を行うことは必要不可欠です。本件訴訟において 、原告は、 一貫して、「 入管にはもう二度とこんな事件を起こさないで欲しい 」と述べてきました。 原告の想いが裏切られることのないよう、 入管職員に対して人権研修を実施するなど、より具体的な再発防止策を実施することを強く望みます。
    そして、本件では、証拠保全によって得られた監視カメラの映像によって、原告が受けた一連の暴行の様子等が明確になりましたが、入管は、違法な制圧行為等があった ことを理由に 裁判所による証拠保全手続が行われた場合も 、保全対象である監視カメラの 映像の提出になかなか応じようとしません。入管は監視カメラの映像の提出には消極的であり、動画そのものではなく、静止画の提出で代替しようとすることがあります 。しかし、真に再発防止をするのであれば、入管にとって都合が悪いと思われる証拠も速やかに開示するという姿勢を徹底させるべきです。
    5 最後に
    被収容者は人間です。
    必要なのは、「隔離」や「制圧」などの「暴力」ではなく、「言葉」、コミュニケーションを尽くすことです。本件和解から入管が変わることを期待しています。また、本件でこうした形で解決をすることができたのは、多くのみなさんの大きなご支援をいただいたこと、そして 、被告や裁判所も被収容者の処遇につき、 社会的な意識の高まりを受け止めたことによると考えます。 改めて 、関係者とご支援をいただいた多くの方々に感謝を申し上げます 。

    以 上
    2020年10月1日

     

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